加速度・速度・変位
振動は、表面がどれだけ動くか(変位)、どれだけ速く動くか(速度)、その速さがどれだけ早く変わるか(加速度)で表せます。周波数 f の単一の正弦波振動では、3 つは角周波数 ω = 2πf で結ばれます。
v = a / (2πf) d = v / (2πf)
同じ速度でも、低い周波数では変位が大きく、高い周波数では加速度が大きくなります。このため、低速の軸や構造物には変位、機械全般の状態には速度、軸受や歯車には加速度が使われます。
ピーク・実効値・ピーク間
それぞれの量は 3 通りに表せます。
- ピーク: 1 周期中の最大値
- 実効値(RMS): 正弦波ではピーク / √2
- ピーク間: 全振幅、2 × ピーク
慣例として、加速度はピーク(g)、速度は実効値(mm/s または in/s)、変位はピーク間(µm または mil)で表すことが多いです。データシートや判定値がどれを使っているか必ず確認してください。変位の実効値とピーク間を取り違えると 2.8 倍の誤差になります。
計算例
ポンプの軸受で、50 Hz(3000 min⁻¹)において 4.5 mm/s(実効値):
- 速度ピーク 6.36 mm/s、ピーク間 12.73 mm/s
- 加速度ピーク 0.204 g(2.00 m/s²)
- 変位ピーク間 40.5 µm
- 100 mV/g の加速度センサーではピーク 20.4 mV、実効値 14.4 mV
剛支持の 15–300 kW の機械では、4.5 mm/s は ISO 10816-3 のゾーン C と D の境界です。
評価ゾーン
ISO 10816-3 は、15 kW を超える機械を、軸受ハウジングで測定した 10〜1000 Hz の広帯域の速度実効値で評価します。
- ゾーン A: 新たに運転を開始した機械
- ゾーン B: 制限なく長期運転してよい
- ゾーン C: 連続した長期運転には適さない。保全を計画する
- ゾーン D: 損傷を起こすほど大きい
境界値は機械の大きさと、支持が剛か弾性かによって変わります。ISO 10816-3 は ISO 20816-3:2022 に置き換えられましたが、契約や工場規格では旧版がまだよく参照されます。受入試験に適用される版を使ってください。
加速度センサーの選定
このツールはセンサーが受ける加速度を表示します。衝撃や高調波を見込んだ余裕のある測定範囲と、回転速度や軸受周波数をカバーする周波数範囲を選びます。汎用センサーは 100 mV/g です。加速度の小さい低速機械には 500 mV/g 以上を使います。PLC へのループには、速度実効値を直接出力する 4–20 mA 振動伝送器が使えます。スケーリングは 4–20 mA 換算ツール で行えます。
よくある誤り
単一周波数の換算をオーバーオール値に使う。 広帯域の測定値には多くの周波数が含まれます。オーバーオールの加速度を回転周波数の 2πf で割っても、オーバーオールの速度にはなりません。
ピークと実効値を混同する。 一部の携帯型測定器は √2 × 実効値で計算した「ピーク」(換算ピーク)を表示し、実際の信号の真のピークとは異なります。
周波数範囲を無視する。 フィルタの異なる 2 台の測定器は、同じ機械でも異なるオーバーオール値を示すことがあります。
よくある質問
どの単位に対応していますか?
加速度は g と m/s²、速度は mm/s と in/s、変位は µm と mil(1/1000 インチ)です。
1 g はちょうど 9.81 m/s² ですか?
換算には標準重力加速度 9.80665 m/s² を使っています。
ゾーン評価はどの機械にも使えますか?
ISO 10816-3 の機械グループと条件に限ります。往復動機械や風力発電機などには、規格の別のパートがあります。