アンチエイリアスフィルタ計算ツールのしくみ
ADC は入力を離散的な時刻でサンプリングします。信号のうちサンプリング周波数の半分、つまりナイキスト周波数より上の成分は失われるのではなく、偽の低周波成分として測定帯域に折り返します。ADC の前のフィルタで、サンプリング前に取り除く必要があります。最も簡単なのは抵抗とコンデンサで、ADC 入力の前やセンサ端子によく置かれます。
このツールは R と C、または R とカットオフ周波数から、−3 dB 周波数、½ LSB に必要な値と比べたナイキスト周波数での減衰、ステップ後のセトリング時間、遅延を求めます。バッファで分離した同一の段を 4 段まで扱えます。
どれだけ減衰すれば十分か
ナイキスト周波数のフルスケール信号を ½ LSB 未満に抑えるには、フィルタで 20 log(2^−(N+1)) 減衰させる必要があります。12 ビットで 78 dB、16 ビットで 102 dB です。RC 1 段はカットオフより上で 1 デケードあたり 20 dB しか下がらず、カットオフ 1.6 kHz、サンプリング 10 kHz では 5 kHz で 10 dB にしかなりません。ツールは不足分を示します。
実際には、ナイキスト周波数の妨害がフルスケールであることはまれで、多くの設計は簡単な RC フィルタにオーバーサンプリングと ADC 後のデジタルフィルタを組み合わせます。この数値は、アナログフィルタが仕事のどれだけを担っているかを示します。
セトリング時間
入力がステップ変化すると、フィルタの出力は指数関数的に新しい値へ近づきます。½ LSB 以内に入るには 1 段で (N + 1) ln 2 時定数かかり、12 ビットで 9 τ、16 ビットで 11.8 τ です。ADC を複数チャネルで切り替えるとき、入力がステップ変化するとき、測定直前に信号源の電源を入れるときに問題になります。連続してサンプリングされるフィルタ後の信号は、遅延分だけ遅れるだけです。
信号の損失と位相
フィルタは必要な信号も減衰させます。カットオフ周波数の 10 分の 1 では損失は 0.5 %、カットオフでは 29 % です。信号周波数を入力すると振幅の低下と位相のずれが、50 Hz や 60 Hz の電源周波数のような妨害周波数を入力するとその残りがわかります。
計算に含まれないこと
バッファなしで直接つないだ段は互いに負荷となり、カットオフが下がって応答も変わります。ADC のサンプリングコンデンサは変換ごとに電荷を取り込むため、フィルタのコンデンサは段差なしにそれを供給できる大きさが必要です。許容される信号源インピーダンスは ADC のデータシートに記載されています。センサのスパンが何コードを使うかは ADC 分解能計算ツール でわかります。
よくある質問
カットオフをとても低くしてはいけませんか?
カットオフを下げると妨害はよく取れますが、応答が遅くなり、信号が遅れ、速い変化の振幅も小さくなります。見る必要のある最も速い変化でカットオフを決め、ナイキストでの減衰が十分になるまでサンプリング周波数を上げてください。
RC 2 段は 1 段より良いですか?
2 段は 1 デケードあたり 20 dB ではなく 40 dB で下がるので、ナイキストでの減衰がはるかに大きくなります。−3 dB 周波数は各段のカットオフの 0.64 倍になり、セトリングは遅くなります。
ΔΣ 型 ADC にもこのフィルタは必要ですか?
必要性はずっと小さくなります。ΔΣ 型変換器は出力データレートよりはるかに高い周波数でサンプリングし、デジタルでフィルタするので、帯域よりかなり高いカットオフの簡単な RC で足りることが多いです。データシートの推奨入力フィルタを確認してください。